アレキサンダーファン
2013年09月掲載
プロフィール
北山順子(きたやま・じゅんこ) 北山順子
(きたやま・じゅんこ)

埼玉県出身。16才よりホルンを始める。狭山ヶ丘高校、武蔵野音楽大学卒業。ホルンを伊藤泰世、ラースロー・ガール、久永重明、丸山勉の各氏に、室内楽を磯部周平、カールマン・ベルケシュの両氏に師事。在学中、学内オーディションに合格し「室内楽の夕べ」成績優秀者によるソリスト演奏会に出演。岡山県支部新人演奏会、JTアフタヌーンコンサートに出演。2004年、日本ホルン協会サマーキャンプ ソロコンクール第1位、ホルンフェスティバル第1回アンサンブルコンクールで優勝。現在、フリーランスのホルン奏者として、在京オーケストラ、地方オーケストラにエキストラ出演、またミュージカル、室内楽の分野などでも活動している。ホルニスツギルド東京、Tokyo Purely Brass、Cor Ensemble VENUSメンバー。

使用楽器:
 アレキサンダー 103MBL
使用マウスピース:
 ティルツ マックウィリアム2

第37回 プレーヤーズ
北山順子 インタビュー

国内外のホルンプレーヤーにスポットを当て、インタビューや対談を掲載するコーナー。
ホルンについてはもちろん、趣味や休日の過ごし方など、
普段知ることの無いプレーヤーの私生活についてもお伝えします。



女性ホルンアンサンブル「ヴィーナス」のメンバーとして

─北山さんの所属する女性5人のホルンアンサンブル、ヴィーナスはファーストアルバム『パステル』を発売したり、杉並公会堂大ホールで演奏会を開いたりと、大活躍ですね。

 おかげさまでいろいろなところで取り上げていただきましたが、ヴィーナスの結成自体は2006年なんです。私がまだ学生の頃から、亡くなった伊藤泰世先生が「これからは優秀な女性のホルン奏者が出てくるから、もっと女性に演奏の場を提供したい」とおっしゃっていたのがきっかけです。まだ今ほど女性のプロホルン奏者が多くない頃でした。
 当初オーディションをやる予定だったのですが先生がそのころから体調が悪く、結局伊藤先生と、丸山勉さん、西條貴人さん、久永重明さんが1人ずつ推薦するという形で最初はカルテットとして結成されました。
 伊藤先生が主催していた「THE BOSS MUSIC」の演奏会で《椿姫》を丸山さん、西條さん、久永さんといった各推薦者の方々とともに8重奏で演奏するつもりで進めていたのですが、先生は途中で亡くなられてしまいました。でもそれは追悼演奏会で実現しました。


─北山さんはどなたのご推薦だったのですか。

 私は伊藤先生に推薦していただきました。渡部なっちゃんとはそのときが初対面でした。THE BOSS MUSICで演奏した後もメンバーで連絡を取り合っていて、たまに集まって合わせたりご飯を食べに行ったりということをするうちに「演奏会をしよう」という話になって、2009年に杉並公会堂の小ホールでデビューコンサートを開催しました。この時はゲストで丸山勉さんと阿部雅人さんにも出ていただきました。


─今年の5月には大ホールをいっぱいにしてしまったわけですから、すごいですよね。

 小ホールで演奏会をしたときにはチケットがすぐ完売してしまって「行きたかったのに」というお客様も多かったので、「次は大きいところでやろう」と、大ホールを取ってしまったんです(笑)。


─ヴィーナスというグループで演奏するに当たって、何か思うことはありますか?

 うーん。あまり特別なことは思わないです。女子会をするような感じでトークしたりとか、合わせの後ご飯を食べに行ったりとか、楽しくやっています。


北山順子


初めて「自分の思いはちゃんと伝わるんだ」と思いました

─ところで、北山さんがホルンを始めたのは?

 ホルンは高校生からですが、小学校のときには金管バンドのクラブで3年間コルネットを吹いていました。中学校で吹奏楽部に入って女の子らしくフルートをやりたかったのですが、希望が叶いませんでした。第2希望がクラリネット、第3希望はサックスでしたが、やはり金管をやっていたということでユーフォニアムになりました。でも合奏中もフルートの子とか「いいなあ」と思いながら見ているような感じでした。
 でも中学2年のときに新しい顧問の先生が来て、その先生が武蔵野音大でトロンボーンを専攻した方だったので、きちんと基礎を教えてもらうことができました。それまでは基礎練習もしない部活で、ロングトーンの存在さえ知りませんでしたからね。そこでいろいろ教わるうちに楽しくなってきて、ユーフォニアムも好きになりました。
 ちょうどその頃、姉が大学のオーケストラでトランペットを吹いていて、演奏会を聴きに行ったときにチャイコフスキーの交響曲第5番の第2楽章のホルンソロを聴いて感動して、自分もホルンをやりたいと思いました。高校は吹奏楽の上手なところを選んで、ホルンを始めました。


─ということは、もし中学校のときに希望が通ってフルートを吹いていたら……。

 楽器を続けていないか、やっていたとしても趣味で吹いている程度だと思いますね。


北山順子

─ホルンを始めてみていかがでした?
 「ホルンて難しいんだな」とびっくりしました(笑)。金管は長くやってきたのに、思うように吹けないし、慣れれば吹けるかと思ったらそうでもなさそうで。「自分がこう吹きたい」というイメージはあるのに、その通りの音が出ないのが悔しくて、「ホルンを選んだのは間違いじゃないか」と思いながら夏頃まで毎日泣いていました。

─でも、「こう吹きたい」というイメージがあったからこそ、上達したのでしょうね。
 やはりそこを目指して練習していましたから。そのうち自分のやりたいことがちょっとずつ出せるようになってきて。


─何か、きっかけはありましたか。

 やはり伊藤(泰世)先生に出会ったのが大きかったです。高校時代は部活漬けでしたから、音大に行きたいとは思っていましたが受験のための勉強は一切する時間がありませんでした。部活を引退してから3年生の11月頃になってやっと本格的に受験に向けて勉強するようになり、そのとき伊藤先生を紹介していただきました。
 レッスンで「ホルンはもう大丈夫だから(他の勉強をしなさい)」と言ってくださったんです。伊藤先生にそういうふうに誉めていただいて、そこで初めて「自分の思いはちゃんと伝わるんだ」と思いました。
 部活は人数も120人くらいいましたし、練習もひたすらパートでメトロノームに合わせて、部活で演奏する曲だけきっちりやるという感じで、ソロなど吹いている時間もなかったし、1人の音を聴いてもらうような機会もありませんでしたから。


─なぜ伊藤先生だったのですか。

 中学校のときの顧問の先生の影響で武蔵野音大に行こうと思って先生を紹介していただくときに、たまたま家が一番近かったのが伊藤先生だったんです(笑)。そのまま、武蔵野で4年間教えていただきましたが、私が卒業した年に亡くなられてしまいました。私は最後まで教えていただけたので本当に幸運でした。


─どんな先生でしたか。

 私はほめて育てていただきました(笑)。いつも優しかったですし、レッスンが終わったら2人でご飯を食べに行ったり、お家に呼んでいただいたり。すごく生徒との距離が近くて、「10円あれば電話できるんだから、いつでも電話しろ」というのが口癖でした。「忙しいだろうから電話しちゃ悪いかな」と思って連絡しなかったりすると、次のレッスンで「なんで電話してこないの?」って言われて。だから練習していてちょっとつまづいたとか、上手く行かなかったところとかがあれば、すぐ先生に電話してました。そうやっていつでも何でも、聞きたいことを聞くことができましたね。


北山順子



すごく良い音で遠鳴りする楽器。103は「運命の楽器」だと思いました

─北山さん自身、高校時代から、「こう吹きたい」「こういう音を出したい」という確固たる思いがあったようですが。

 特に音色にはいつもこだわって練習していました。高校生の頃から思っていたのは、例え狭くて響かない音楽室で練習していても、ホールで吹いているようなつもりで、しかも一番後ろに座っているお客さんに私の良い音を聴かせようというつもりで吹くということでした。当時の身近なホールで定期演奏会もしていた所沢のミューズの、3階席の人にも届くようにという気持ちでいつも練習していました。


─いわゆる「遠鳴りする音」だと思うのですが、どうすれば遠くまで音が飛ぶのでしょうか。

 「音を真ん中に寄せる」というのでしょうか。言葉で言うのは難しいですね。音を散らばらせるのではなく、音の焦点を合わせることで身の詰まった良い音が出ると思います。そうやって真ん中に寄せた音は散らないで遠くまで飛ぶと思っています。
 あとは、キラキラした音を出したいです。私は沈んだ音ではなく、パッと明るい音が好きなので。


北山順子

─つまり、アレキサンダー103という楽器に出会うべくして出会ったという感じですね。
 はい。私にはすごく合っていると思います。103は大学3年生の終わり頃から吹いています。

─意外と遅かったような……。
 伊藤先生にも、大学に入ってすぐ「楽器、変えない?」と言われましたが、前の楽器を高校2年生のときに買ってもらったばかりでしたので。でも大学3年生のときに、「卒業してプロでやっていくなら、真面目に考えた方がいいよ」と言われて両親に相談しました。最初は当然「無理」と言われましたが、真剣に思いを話したら納得してくれました。「最初からアレキサンダーにすればよかったのに」とも言われましたけど(笑)。


─吹いてみていかがでしたか。

 吹くまでは、何となく「抵抗が強くて、自分の力では楽器に負けてしまうのではないか」と思っていたのですが、試奏してみたら「これが良い!」と。自分のイメージしている音色が出せて、慣れるまでに時間がかかる事もなく、最初から吹きやすい!と感じる程でした。
 周りの子も「すごく合ってる」と言ってくれたし、伊藤先生もそう言ってくださったので、「運命の楽器だったんだな」と思いました。シリアルが21000番台の楽器で、今もずっと使っています。やはり一番の魅力は音色ですよね。それから、遠くまでしっかりと音色が届く楽器だと思います。先ほども言ったように楽器の抵抗とうまくバランスする息を入れることができれば、すごく良い音で遠鳴りする楽器だと思います。自分で吹きながらそれがわかるのがまた気持ち良いです。



北山順子

─マウスピースはどんなものをお使いですか。
 最初大学に入った時に、先生と同じティルツのマックウィリアム1にしたのですが、「ちょっと深いかも」と先輩に指摘していただいて、後にマックウィリアムの2番に替えてそのままです。

─ところで、大学を卒業してからはフリーで活動されていますが、どんな仕事が多いですか。
 いろいろある中で、バレエの仕事が多いです。同じ曲でもオーケストラだけで演奏するときとバレエと一緒に演るときでは違いますね。踊りに合わせなければならないので、テンポ感も違うし、ステップに合わせるので、キメの部分など慣れていないと飛び出してしまったりすることもあります。注意すべき場所は決まっていますので、指揮者とコンマスを見ていつもより気を付けて合わせるようにします。
 あと、以前女性だけのオーケストラでミュージカルをやったことがあるのですが、それはとても楽しかった記憶があります。ヴィーナスもそうですが、女子だけだと独特の楽しさがありますね。


─やはり女性らしいサウンドを意識して?

 うーん。実は自分たちでそういうものを意識しているわけではないんです。「自分たちにできる限りの良いものを作ろう」ということだけですね。


─最後に、これからの目標などありましたら。

 聴いていただけるお客様に良いものを届けられるように、頑張っていきたいです! 「聴きに来てよかった」と言っていただけるような、「おなかいっぱい」で帰ってもらえるような演奏を届けられるように、これからも努力していきたいと思います。


ケースに付いているミニーちゃんの大きなリボンがかわいい

ケースに付いているミニーちゃんの大きなリボンがかわいい



「趣味」のコーナー

─休みの日はどんなことをしていることが多いですか。

 動物が大好きで、家では犬と遊んだりお散歩に出かけたりしてます。あと、動物園や水族館に行くのも好きです!


─最近凝っていることは?
 ネイルの道具をそろえて、自分でやっています。それが今一番の趣味ですかね。何年か前までネイルサロンに行っていたんですけれど、お金もかかりますし、見ていたら自分でできそうな気がしてきて。道具もネイルサロン1回分くらいの値段だったので「失敗してもいいや」と思って買ってみたら、わりと思うようにできたので。それから凝り始めて、材料を買い足したりしてここ2〜3年は自分でやっています。

─他には?
 ドライブですかね。山とか綺麗な景色見るのが好きです。車の免許は持っていないので乗せてもらう専門ですが、スクーターでは結構遠くまで行ってしまいます。仕事にもホルンを背負ってスクーターで走っていくこともありますよ(笑)。


─好きな食べ物は?

 チョコレートと、唐揚げです! 飲み会ではみんな私に「唐揚げ頼まなくていいの?」と聞いてくれます(笑)。でも私、お酒は全く飲めないんです。なのにいつも飲んでいるように見えているみたいで、ウーロン茶を飲んでいると「今日は飲まないの?」と毎回言われるんですよ!






『丸山勉ニューアルバム発売記念コンサート』に、ヴィーナスが出演!!
 
[日 程] 10月6日19時開演
[場 所] 紀尾井ホール(東京・四谷)
[料 金] 2,500円(全席自由)/バナナシート(高校生以下)1,500円
[曲 目] 「ムーンリバー」「 3匹の猫」他
[問い合わせ先] 円山音芸 Tel&Fax 03-3565-7311
 
 


当コーナーの情報はそれぞれ掲載時のものです。
プロフィール等変更となっている場合がございますので予めご了承下さい。


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