アレキサンダーファン
2016年9月掲載
第66回 アレキファン的「ホルンの“ホ”」
ホルンアンサンブルヴィーナス3rdコンサート


 女性だけのホルンアンサンブル“ヴィーナス”の3rdコンサートが開催された(4月27日、杉並公会堂大ホール)。藤田麻理絵さんはスイス留学中でお休みだったが、新たに小山桜さん、鈴木優さん、向なつきさんの3人を加えて7人でのコンサートとなった。



ホールいっぱいに響かせるサウンドとハーモニーも魅力

 

 照明を落としたステージに、ヴィーナスの7人が黒のドレスで登場し、もともとヴィーナスのために五重奏として書かれた小林健太郎《輝ける明けの明星》の七重奏版〈七つの星の輝き〉でオープニング。優しさと輝かしさ、そして躍動感を感じさせる曲だが、7人になって厚みと力強さが増し、明けの明星の響きがひときわ強くなったようにも感じた。


 
 

 このコンサートは様々な編成でプログラムを組んでいたのも魅力で、続いては向、小山、鈴木というフレッシュなメンバーが中心となったドープラの《6つの六重奏曲》。1stを吹いた向の伸びやかでしなやかなメロディが聴かせたが、それを5th村中、6th渡部の安定した低音が支えた。(敬称略。メンバー表は下に)。全体にフォルテでもどこか慎み深い感じが印象的だった。
 紀尾井ホールの大きな空間いっぱいに響かせるサウンドやハーモニーも大きな魅力で、ベルを出てからむしろ音が拡大されて客席に届くようにさえ感じた。メンバー7名のうち5名がアレキサンダー103を吹いていたこともあるのだろう。全員が同じ方向を向いて音楽を奏でているように感じる。MCで「メンバーは本当に仲が良く、演奏会前日も食事をしに行って結局5時間もおしゃべりしていた」と言っていたのも、納得だ。
 続くイウェイゼン《夢の架け橋》は八重奏ということで、ヴィーナス創設者の故伊藤泰世氏の遺志を継いでプロデューサー的立場にある丸山勉氏がスペシャルゲストとして登場し、8thを吹いた(バリバリ低音を吹く丸山氏というのもレアだった)。パート順に並ぶのではなく、オーケストラでいう対抗配置を採り、1st小山、3rd豊田のかけあいの妙を見せてくれた。あるときは1つのメロディを分け合っていたりと、曲の仕掛けの面白さもよくわかる演奏で、特に終楽章などは密度感の高いアンサンブルを堪能することができた。




確かにこの演奏会には7人それぞれの輝きがあった

 

 後半は、各々のテーマカラー(?)のドレスを身にまとって登場し、まさに虹色の華やかなステージとなった。最初は《ロイド=ウェッバー・ミュージカル・メドレー》。有名なミュージカルのシーンが次々と現れる。演奏の方も前半とは異なり、感情を開放して行く感じでよりドラマチックになっていった。中でも、なめらかでまさに「歌」を思わせる、1stを吹いた北山の情緒豊かで心に響くホルンは素晴らしかった。
 ピーター=ホラスの《クレイジーホルンズ》は明るく朗らか、続くウィギンズ《5つのミニアチュア》はカラーの異なる曲が次々に現れて聴いていて楽しく、ヴィーナスというグループにぴったりに感じる。


 

 最後は大橋晃一編曲による《オペラの中のヒロインたち》。第1部はプッチーニのオペラに登場するヒロインのアリアが、第2部では《カルメン》のメロディが各パートに現れる。オケの部分もかなり複雑な譜面だが、劇的なオペラのシーンを思い起こさせるような熱演で、感情を込めたメロディの美しさと高度なテクニック、両方で魅せてくれたのだった。
 アンコールは「虹にまつわる曲を」ということでディズニーの名曲《オーバー・ザ・レインボー》、そして丸山氏も加わって《ミセス・ロビンソン》を演奏。
 後半、全員が異なるカラーを身にまとって登場したのはひとつの演出だけれど、確かに、この演奏会には7人それぞれの輝きがあった。聴いた人はこの演奏会を通して、誰か“お気に入り”が見つかったのではないだろうか(筆者は見つかった)。そして、曲によってドレスの色の組み合わせが変わるように、個性の組み合わせも変化して、曲ごとに異なる色合いが楽しめる演奏会であった。




Cor Ensemble VENUS メンバー

  北山順子 フリーランス
  小山 桜 フリーランス
  鈴木 優 東京交響楽団
  豊田実加 神奈川フィルハーモニー管弦楽団
  向なつき 愛知室内オーケストラ
  村中美菜 日本フィルハーモニー交響楽団
  渡部奈津子 広島交響楽団
  藤田麻理絵 新日本フィルハーモニー交響楽団


ヴィーナスのメンバーも出演!!
「伊藤泰世へのオマージュ ホルンで紡ぐ、未来への光と愛」
10月16日(日)紀尾井ホールにて開催決定!!
演奏会情報はこちら 




文:アレキサンダーファン編集部 今泉晃一


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