アレキサンダーファン
2009年02月掲載
ホルンなんでも盤版Bang! 〜ライブラリー〜 「ホルンなんでも盤版Bang!」
ホルン関係のCD・楽譜情報を発信していきます!!


このコーナーでは、ホルンに関するディスクをご紹介いたします。
みんな知っている超定盤、「こんなのあったのか」という珍盤など、ホルンが活躍するものなら何でも。その中から今回はこの2枚です。
ここでご紹介する盤は基本的には筆者のライブラリーですので、当サイトへの、入手方法などに関するお問い合わせはご遠慮くださるよう、お願い申し上げます。


盤版Bang!ライブラリー023

モーツァルト/ホルン協奏曲全集
シュテファン・ドール(ホルン)、エマヌエル・シュルツ指揮 カメラータ・シュルツ
モーツァルト/ホルン協奏曲全集
1〜3. ホルン協奏曲第2番 K.417
4〜6. ホルン協奏曲第3番 K.447
7〜9. ホルン協奏曲第4番 K.495
10〜11. ホルン協奏曲第1番 K.412/514(386b)
[補筆完成:フランツ・クサヴァー・ジュスマイア(K.514のみ)]
12〜13. ホルン協奏曲第1番 K.412/514(386b)
[補筆完成:ロバート・レヴィン]
14. ニーノ・ロータ/アンダンテ・ソステヌート
カメラータ・トウキョウ CMCD-28176

▼モーツァルトのホルン協奏曲は、すべてのホルン協奏曲中で最も多くの録音があり、往年の名手によるディスクも枚挙に暇がない。もちろん「名盤」と呼ぶべきものも多いが、なぜかレコードで聴くと「完成度は高いけれどどこか面白くない」という演奏も数多い。
  その点、我らのシュテファン・ドール(もちろん使用楽器はアレキサンダー103)の演奏するモーツァルトはライブ感にあふれ、溌溂としている。実際はどういうふうにレコーディングされたのかわからないが、「曲をいくつかのパートに分けてそれぞれ複数テイクを録り、良いものだけをつなぎ合わせた」という整然とした演奏ではなく、荒削りな部分はあるものの、まるでライブ録音のような臨場感が感じられるのだ。AHEJの演奏会でも見せてくれた、常に前へ前へと音楽をドライブしようとする姿勢がここでもはっきりと見て取れ、それこそが彼のモーツァルトに力強い命を与えているように思える。そしてバックを務めるエマヌエル・シュルツ指揮のカメラータ・シュルツもそれによく呼応し、生き生きとした音楽的やりとりが成立している。
▼第2番の冒頭からどこまでも伸びやかでブライトなドールならではの音色を聴かせてくれ、たっぷりとした歌い方、振り幅の大きな感情表現、広いダイナミクスなど、生の演奏でも感じるドールの魅力がしっかりと収録されている。特に快活な印象のある第2番だけに、聴き終えた後に爽やかさが残る演奏だ。
  第3番は曲に合わせてもう少し優しげな表現が多く見られるが、やはり曲中での表情の変化がダイナミックだ。第1楽章展開部では、「全音符の伸ばしだけでこれだけいろいろな表情が付けられるものか」と大いに勉強になる。細かく聴いていると、同じ音型を決して同じに吹いていない。第2楽章のロマンティックな表現はドールの独壇場とも言えるもの。
  第4番第1楽章では「maestoso」とある分、音にテンションを持たせているように感じる。ここのカデンツァはひとつの聴き所だ。
▼さて、このCDのハイライトが、最後に収録された第1番。実はこの曲は第1楽章だけが完成しており、本来第2楽章となる緩徐楽章はなく、第3楽章のはずのロンドは草稿のみだったのを弟子のジュスマイアが完成させたもの。しかもこのCDでドールは、アメリカの20世紀の音楽学者、ロバート・レヴィンによる補筆版(もちろん「ロンド」もレヴィンによる完成版)も演奏している。さらに最後には、フェリーニなどの映画音楽でも有名なイタリアの作曲家ニーノ・ロータによる、第2楽章を想定した「アンダンテ・ソステヌート」までが収録されている。モーツァルトとその弟子、そして後世の研究者、作曲家によるいわば「全曲版」が聴けるというのは非常に興味深い。
▼モーツァルトと直接の弟子であるジュスマイア版とレヴィン版を比べると、前者の方が聴き慣れているのは間違いないが、レヴィン版の方がより機能的であり叙情的。新鮮でありながら、なぜか時折「よりモーツァルトらしく」聞こえる部分もあるのは私だけだろうか。
  ニーノ・ロータによる「第2楽章」はモーツァルト作曲と言われても信じるくらいだが(どちらかといえばベートーヴェンぽいか?)、ロータらしいメランコリックなメロディや甘やかな雰囲気も存分に盛り込まれている。ただ、もともとモーツァルトのホルン協奏曲自体が「ホルンを歌わせる」ように書かれているから、意外に違和感がないのだ。しかも、これがまたドールとの相性抜群!


盤版Bang!ライブラリー024

POP CORNE
東谷慶太(ホルン)、大西ノリフミ(ギター)、喜多健博(エレキベース)、浅川ジュン(ドラム)
POP CORNE
1. Take Me There(Grover Washington)
2. Love Dance(Ivan Lins)
3. Sambou...Sambou(Joao Donato)
4. Last Dance(Chuck Mangione)
5. Alfie(Burt Bacharach)
6. Candy(Kramer-Whitney-Davis)
POP-C001

▼さて、もう1枚はユニークなアルバムをご紹介したい。以前このサイトの「プレーヤーズ」にもご登場いただいた、東谷慶太のファーストアルバムで、2006年にレコーディングしたものを、満を持して2008年5月に発売。アルバムタイトルと同じ“ポップコーンズ”というホルン4重奏も主宰しているが、今回はソロでの演奏だ。それにしても、「ホルンのCD」と思って聴くと、そのイメージと出てきた音とのギャップに、良い意味での衝撃を受ける。
▼ホルン、ギター、エレキベース、ドラムという編成で東谷氏のメインフィールドとしているまさに「ポップスホルン」。ベルにマイクを取り付けてスタジオで録音する(エコーは後から電子的に付加する)という方法を採るために、ちょっと聴くと「え? これがホルン?」と思うかもしれない。そのサウンドはジャズトロンボーンのようにも感じられるが、しかし、柔らかく甘い音色はまさしくホルンのもの。ちなみに使用している楽器はアレキサンダーだが、ゴールドブラスに金メッキをかけた403S(クランツ付き)というレアなものだ。
▼曲はジャズやラテン、バラードの名曲をギターの大西ノリフミと東谷慶太等がアレンジしたもので、全体にジャジーな雰囲気が漂う。中でも、ホルン1本とアコースティックギター1本でしっとりと聴かせてくれる(東谷氏のポップスホルンの原点がこの編成だとか)2曲目や4曲目、バックのホルンまで多重録音で収録し、ミュートプレイも聴かせてくれるノリの良い6曲目などが特にお薦め。
▼しかし、ホルン云々を抜きにしても、上品で心地よいポップアルバムに仕上がっているから、ホルンを知らない人にも先入観なしに聴いて欲しい。聴き終わると、心が暖かくなるはず。そしてホルンを知っている人にとっては、ホルンという楽器の別の側面を感じることができるのではないだろうか。
このCDはドルチェ楽器 管楽器アヴェニュー東京(新宿)店、ドルチェ楽器 大阪(梅田)店などで購入可能。


アレキサンダーファン編集部:今泉晃一



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