アレキサンダーファン
2007年03月掲載
ホルンなんでも盤版Bang! 〜ライブラリー〜 「ホルンなんでも盤版Bang!」
ホルン関係のCD・楽譜情報を発信していきます!!


このコーナーでは、ホルンに関するディスクをご紹介いたします。
みんな知っている超定盤、「こんなのあったのか」という珍盤など、ホルンが活躍するものなら何でも。その中から今回はこの2枚です。
ここでご紹介する盤は基本的には筆者のライブラリーですので、当サイトへの、入手方法などに関するお問い合わせはご遠慮くださるよう、お願い申し上げます。


盤版Bang!ライブラリー013

CARNIVAL
アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン
CARNIVAL/アレキサンダーホルンアンサンブルジャパン
1. ベルリオーズ(ロビンソン編)
 序曲「ローマの謝肉祭」
2. ノイリンク(小林健太郎編)
 ホルン4重奏のためのバガテル
3. ブラームス(ロビンソン編)
 交響曲第3番より 第4楽章
4〜7. ベートーヴェン(グンペルト編)
 三重奏曲
8. 小林健太郎
 ホルン10重奏のための断章「葛藤」
9. ワーグナー(ホンプシュ編)
 歌劇「タンホイザー」ハイライト
CAFUA RECORDS CACG-0095

▼アレキサンダー ホルン アンサンブル ジャパン(AHEJ)はアレキサンダーを使用する10人のホルン奏者によって構成されるホルンアンサンブルだ。しかも全員が在京オーケストラに所属する実力派ばかり(メンバー表は「ホルンの“ホ”」を参照)。その演奏はいつも我々を驚かせてくれるのだが、2枚目となるアルバムでもまたやってくれました!
▼色彩感豊かで華やかな「ローマの謝肉祭」をホルン8本で演奏するのは考えるだけでも、もちろん実際に聴いても困難だが、しっかりと原曲の雰囲気が味わえる演奏になった。部分部分だけ聴けばとてもアクロバティックなのだが、それをアクロバティックと感じさせないだけの腕を全員が持っているからだ。特に前半のアリアの歌いっぷりと、後半の速くなってからのぐいぐいと引き込まれる(=手に汗握る)躍動感がポイント(あと、最後のハイA?)。
▼原曲はホルン吹きなら知っている人も多いだろう「低音ホルンとピアノのためのバガテル」。でもソロホルン+伴奏パートではなく、すべてのパートにソロが回ってくるのが面白い。ピアノ伴奏よりもホルン4本の方が思いっ切り吹けるのかもしれないが、パワフルな「低音の魅力」が聴いていて超爽快!
▼ブラームスの交響曲第3番。ホルン吹きならたいてい好きな名曲だ。それをホルン8本にアレンジ、と聞けば誰もが3楽章だと思うに違いない。しかしAHEJはそんな生ぬるいことはしない。演奏するのは第4楽章。しかもノーカット。はっきり言って無茶だ。特に高音部はG、Abが普通に出てくる。でも文句なしにカッコイイ! この演奏は原曲の格好良さを再認識させてくれた。
▼ベートーヴェンの三重奏曲はもともとオーボエ2本とイングリッシュホルンのために書かれたもの。ホルン3本でも全く違和感がない。実は曲を聴いてからライナーを見て、3人で吹いているということが信じられなかった。それほど豊かな響きが印象に残る。全体にアクロバティックなプログラムの多いこのCDの中では、ある意味スケルツォ中の“トリオ”のようにほっとできる曲。おお、だからトリオなのか(お後がよろしいようで…)。
▼AHEJにオリジナル曲(やオリジナルアレンジ)を提供することの多い小林健太郎(自身もホルン奏者)による委嘱曲(初演は2006年2月18日の第5回定期演奏会)。ライナーによれば本人も「架空のサウンドトラック」という表現をしているが、まさに起伏のある展開のそれぞれのシーンが思い浮かぶような、雄大かつドラマチックな曲だ。個人的な印象としては「冒険ロマン」と感じるのだが……。誰が聴いても格好良いと思えるわかりやすさがあり、普通とは逆に吹奏楽などにアレンジして演奏してみたいという気にさせる。
▼「タンホイザー」は有名な序曲の編曲ではなく、オペラからの抜粋。この曲は、思わず口ずさみたくなるようなメロディの宝庫だ。それと同時に極めてホルンらしいパッセージも満載。そのどちらも生かす編曲であり、演奏だ。序曲でも有名な「巡礼の合唱」はホルン8本の分厚いハーモニーを堪能できるし、狩りの場面でオケと舞台裏とに分かれて演奏されるホルンも再現されている。主人公やヒロインの歌も挿入され、最後は歌合戦の入場シーンでの壮麗な行進曲で終わる。これを聴くとワーグナーの音楽がいかにホルンに合うかがよくわかるし、ホルン8本がそろうといかに多彩な表現ができるのかという驚きも感じる演奏。
▼というわけで、ホルン吹きは必聴の超面白盤、というのが素直な感想です。しかもオリジナルの曲の良さを再認識させてくれる効果もある。ホルン吹き以外の人が聴いたら、ホルンという楽器の持つ可能性の大きさを知ることができるはず。でも、みんなこんなふうに吹けるなんて勘違いする人が出てきても困るのだけれど。


盤版Bang!ライブラリー014

R.シュトラウス/交響曲第1番&第2番
ブリテン/テノールとホルンと弦楽合奏のためのセレナード
マリー=ルイーゼ・ノイネッカー(ホルン)
イアン・ボストリッジ(テノール)
インゴ・メッツマッハー指揮バンベルク交響楽団
R.シュトラウス/交響曲第1番&第2番
ブリテン/テノールとホルンと弦楽合奏のためのセレナード
1〜3. R. シュトラウス
 ホルン協奏曲第1番
4〜11. ブリテン
 テノールとホルン、弦楽合奏のための セレナード
12〜14. R. シュトラウス
 ホルン協奏曲第2番
EMI 7243 5 56183 2 0

▼AHOCのミュージックキャンプに特別ゲストとして参加していただいたマリー=ルイーゼ・ノイネッカーという人のCDを改めて聴いてみると、聴くほどに「スゴイ人だ」と思った。本人は背は高いにしてもそんなにごついわけではない、お茶目な女性なのだが、なぜにこれほどパワフルなのか不思議なくらいだ。
▼このCDの録音は1995年と1996年だからすでにソリストとして幅広い活動をしている時期だ。オーケストラはバンベルク交響楽団、かつて在籍していた「古巣」とも言えるオケだ。それだけに、ノイネッカー自身も伸び伸びと演奏していたのではないだろうか。
▼1曲目はご存じR.シュトラウスの協奏曲第1番。冒頭のファンファーレからパワー全開という感じ。しかしパワーだけでなく、繊細な部分も、朗々と歌う部分もそれぞれ別の表情を持って聴かせてくれるところがさすがだ。しかも、ある表情から別の表情への移り変わりがスムーズかつ素早く、しかもその差もダイナミックだ。「パワフル」といっても力任せに吹いている感じはない。そこがアレキサンダー103という楽器の特性か、ノイネッカーの息の入れ方の影響か(たぶん両方)、極めて人間的で音楽的にffが響いている。3楽章ラストのカデンツっぽい部分のゆったりした歌い方などもとても新鮮だ。
▼2曲目は「知る人ぞ知る」名曲。かのデニス・ブレインの依頼で作曲された「テノールとホルンと弦楽合奏のためのセレナード」。歌とホルンが同等にソロとして扱われているのが面白い。全部で8曲から構成される20分強の曲。最初の「プロローグ」はナチュラルホルン風の無伴奏ソロ。ここでも伸び伸びと、朗々としていて、しかし細かな起伏がありとても人間的なノイネッカー・トーンだ。続く6曲は様々な詩人の詩に曲を付けたものだが、基本的にホルンが歌を導く構成になっている。
▼ノイネッカーは遠慮しないで吹いている(ように聞こえる)が、決してテノールと喧嘩せず、しかし妥協もせず、歌手を力強くリードしていく演奏だ。トリッキーなことも要求されているのだが、「もう1人の歌手」のように自然なメロディと感じさせてくれる。聴いていると、だんだんノイネッカーのために書かれた曲のように錯覚してくる。ちなみに彼女自身もこの曲が好きだと話していた。
7曲目にはホルンが入らず、その間に移動して舞台裏で「エピローグ」を吹くという演出が聴き手に余韻を残す。
▼再びR.シュトラウスの協奏曲第2番。1楽章はゆったりとした歌い方で、感情を抑えめにしている様子が、第1番の元気良さと対照的で印象に残る。1楽章終盤から2楽章もしっとりと歌い上げてしみじみとした情感を出している。対照的に3楽章の軽妙さと快活さが際だっている。全体に、機械のようにパーフェクトではなく、ところどころに人間味を残しているところに好感を持てる。
▼R.シュトラウスのホルン協奏曲は他にも名演が多いが、このCDは聴き終わったときに不思議と何かが気持ちの中に残って、つい再び聴きたくなってしまうような演奏だと改めて思った。

アレキサンダーファン編集部 (今)



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